不埒なディンクス女の吐き出すくだらない言葉(パソコン閲覧限定)

罵詈雑言-本能ノ趣クママニ

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その手で触れられると すべてを許してしまう 私はあなたの雌奴隷

 
五月晴れとは、元々「梅雨の間の晴れ間」を意味する言葉らしい。
まさにそんな一日だった某日夕刻、待ち合わせや仕事帰りの人でごった返す阪急神戸三宮駅の西口で、マクドナルドの立て看板に身を委ねて私は待っていた。

既に、約束の時間はとうに過ぎている。

その日の昼に、とある団体所属の方々に対して講演をしたので、普段あまり袖を通さない服に身を包んでいたことも仇となり、風通しの悪い素材のシャツの下で玉粒となった汗が肌を伝う感覚と首筋に張り付く髪の毛がなかなか姿を見せない彼に対する苛立ちに拍車をかける。
イヤホンから流れ入るRCサクセションの大好きな一曲「窓の外は雪」も暖簾に腕押し、私の中のマグマは一向に沈下しない。

別に遅れてくることに対して怒っているんじゃない。
むしろ、遅刻は逢いたい気持ちを増幅させるスパイスにもなる!と、相手が彼だとポジティブに捉えることだって出来る。
そうじゃない、そんな小さなことじゃない。
そうじゃなくって、遅れてくるならどうして「遅れる」の一言が言えないのか。
待っている私はどんな気持ちなのか、苛々しているんじゃないかとか、暑さに気分が悪くなってはいないかとか、事故にでも遭ったんじゃないかと心配しているかも知れないとか、どうしてそういう考えが頭をよぎらないのか。
なのに、慣れない土地の馴染みのない場所に一人で来る彼に対して「今、どこ?」と聞くことは、かえって彼の焦りをあおるような気がして、彼のためにも聞かない方がいい―と、自分本位な相手に対してもそんな考えが頭をよぎる自分が猛烈に腹立たしい。

「今日は絶対に言う。どんなことがあっても言う。あなたは本当に自分勝手だって」

鼓膜を慰めるだけとなったナンバーが何曲目かに差し掛かった頃、遂に我慢の限界に達した私は、予定している店のHPアドレスを張り付けて「待ち合わせ場所変更、現地集合」と送ってやろうと、手にしたスマホに目線を移動した時、とくに悪びれるそぶりもなく近寄ってくる彼の姿が目に入ってきた。

「便利な世の中になったね。迷わず来れた」

こちらに一瞥もくれず、スマホのナビ画面を消しながら照れ隠しをするかのように鼻でフフンと笑う彼に「暑さの限界だから先に店に行ってる―って、ラインしようと思ってたとこ」と嫌みたっぷりで返答すると、そこで初めて「ごめん」の一言。
動く口元、低い声、突き刺さる目線、その一つ一つが私の言いたかった言葉を封じ込める。

判っていたこと。そうなることは。

私は言えない。これからも言えない。彼を目の前にするとそれまでの苛立ちなど、どうでもよくなる。ホント、愚かな女。
そして彼と時間を共有しない日々では再び、「テーマ:彼」の脳内単独会議が繰り広げられる。

---

「今日は海鮮で攻めたいと思いますが、いかがでしょうか?」
「いいね、いざ突撃!」

正面には、去年末に二人で見た夕陽によく似た太陽。
いまは初夏、五月晴れの夕暮れ。
真逆の季節にあの時と同じ光が沈む方向に向かって、並んで歩く。
一足二足と進むにつれて、そよぐ風が湿った肌をわずかに乾かす。
右手に持った私のバッグと左手に持つ彼の図面ケースが、時折ぶつかった。(つづく)




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Author:けいこ

幸福とは
幸福を探すことである

【補足】

●日記は「本館」で綴っています。基本、非常に駄文です。(最終更新:2016/12/21

●コメントを下さった方へは現在「私信③(一行レス)」でお返事させて頂いてますが、根っからの無精者なのでめちゃくちゃ遅いです。(最終更新:2017/02/17

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