
ついさっきまで逢っていたのに もう逢いたい 目が耳が指が舌が肌が花弁が 爪の先でなぞる時に震える喉元が見たくて マヤカシでもいいから潤う言葉が聞きたくて 優しく滑り入れられることで自分の体温を感じたくて 滴り落ちる唾液を受け止めたくて 触れるか触れないかの境目で虐められたくて さざ波たつ海の中で快楽に溺れたくて もっと見つめて囁いて舐めて入って来て もっと もっと もっと もっと もっと もっと と叫び求める 離れることを恐れて 強く強く雁字搦めにされたいと ただの肉塊になってもいいと 躰中が咽び入る |

漠然としているけれど 例えば 一つの笑顔であったり おやすみの言葉だったり 繋ぐ手だったり 背景がなくても ストーリー性に欠けていても そこには 私だけ感じることが許される幸せが それしか存在していなくて そしてそれは紛いもない事実で でも ふとした瞬間 そのすべてに 変化や有限があるのかと考えたとき 途轍もない孤独に襲われる |

遠い国のその国で一番偉かった人が語った言葉 「貧乏な人とは 少ししかものを持っていない人ではなく 無限の欲があり いくらあっても満足しない人のことだ」 私は 一度満たされてしまうと それだけでは満足できなくなってしまいます 現状に飽き足らず もっともっとと 更なるものを求めてしまいます そういう欲の塊で出来てます とてもとても貧乏な人です 貧乏な女なんです |

「仕事と私とどっちが大事なの?」 女がときに吐くこの問いかけに対して こう答える男の多いことと言ったらない 「愚問にもほどがある」 「同じ土俵に上げられるはずもない」 「そんなことを聞いて何になる」 確かにそのとおり 何も間違ってなんかいない でもちょっと一言よろしいかしら? 仕事という援護射撃に頼り過ぎ 昭和の時代はとうに終わったの 今の時世、女も外でサラリーをもらっている 社会に出て男と同等に働いている 仕事しているのは男だけじゃない 女だって一緒 何かにつけて仕事に守ってもらって 多忙アピールを言い訳に逃げるから だから、愚問だと判っていても 同じ土俵に上げて 聞いてもどうにもならない話をするわけ 【補足】勿論、そんな問いは私はしない 保身的な意味で聞かない 聞けない |